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プロジェクト

Open Duck Mini

Open Duck Miniは、一人のエンジニアが、ディズニーの表情豊かなロボット「BDXドロイド」の小型オープンソース版を作ろうとしたところから始まりました。
2026年までに、強化学習で歩行を習得した約400ドルの二足歩行ロボットへと成長し、活発なコミュニティを抱え、後にはGoogle I/O 2026でGoogle自身のオンデバイスAIのデモにも起用されています。
公開日: 2026-07-09読了目安 6分

Google公式チャンネル「Google for Developers」による「Gemma Playground: Robot Duck」デモ動画。2台のOpen Duck Mini v2が、Gemma 4を完全にオンデバイスで動かしています。

Open Duck Miniとは

ディズニーのBDXドロイド——強化学習でバランスを取り、動き回る表情豊かなロボット——は、大手スタジオの研究開発チームが手がける独自ハードウェアです。Open Duck Miniが問いかけたのは、より限定的な問いでした——ほぼ一人で作業するエンジニアが、誰でも3Dプリントでき購入できるものとして、それをどこまで再現できるか、というものです。

プロジェクトを支える主な要素は次の通りです。

  • 目標ビルドコストは400ドル未満。全パーツ3Dプリント、Raspberry Piで動作
  • 歩行はシミュレーション上の強化学習で習得し、実機へ転移(Sim2Real)
  • Apache 2.0ライセンス、活発なDiscordコミュニティ、参照歩行モーションを生成する専用リポジトリ

01概要:小型のBDXドロイド

Open Duck Miniは、アントワーヌ・ピロン(Antoine Pirrone)氏の手によるプロジェクトです。同氏は、フランスのロボティクス企業Pollen Robotics(現在はHugging Face傘下、ヒューマノイド「Reachy」やAmazing Handプロジェクトを手がける)の研究開発エンジニアであり、フランス・ボルドーを拠点とするロボティクスチーム「Rhoban」のメンバーでもあります。

プロジェクト自身のREADMEは、その着想を率直に述べています——ディズニーの「BDXドロイド」の小型オープンソース版を作る、というものです。BDXドロイドは、強化学習でバランスを取り動き回る表情豊かなロボットで、ディズニー自身の研究開発チームがディズニーランド・リゾートからNVIDIAの開発者会議GTCまで、さまざまな場で披露してきました。ディズニーのロボットが独自のスタジオ製ハードウェアであるのに対し、ピロン氏が目指したのは、誰でも3Dプリントでき購入できるものでした。

作業台の上に立つ、組み立て済みのOpen Duck Mini v2。目のライトが点灯している

v2の試作機——3Dプリント製の外装、U2D2電源ボード、胴体内部にRaspberry Pi Zero 2Wを内蔵しています。

アントワーヌ・ピロン氏、Open_Duck_Mini GitHubリポジトリ、Apache License 2.0
Bordeaux
開発者アントワーヌ・ピロン氏の拠点
Pollen Robotics
ピロン氏の本業(Amazing Handも手がける)
~35cm
初期v1試作機の高さ
Apache 2.0
ライセンス

2024年9月のアントワーヌ・ピロン氏自身の投稿。シミュレーション上で強化学習したポリシーで、Open Duck Miniが起立に成功した初期のマイルストーンです。

この節の出典: GitHub: apirrone(プロフィール) · Open_Duck_Mini v1 README · Open_Duck_Mini v2 README(実機写真の出典) · The Walt Disney Company 公式記事: BDXドロイド · アントワーヌ・ピロン氏のX投稿(2024年9月)

02ハードウェア:v1からv2へ

初代(v1、高さ約35cm)は、明確に「作業途上」のものでした——より洗練されたビルドに投資する前に、歩行アプローチがそもそも機能するかを試すためのプラットフォームです。2024年12月までに、ピロン氏はv2の開発に着手しました。より背が高く頑丈な再設計で、部材費400ドル未満を目標としました。

学習用コードとは別に用意された専用のランタイム・パッケージが、実機上で動く部分を担っています。

  • v2は脚を伸ばした状態で高さ約42cm、部材費の目標は400ドル未満
  • Raspberry Pi Zero 2Wを搭載。アクチュエータの特性評価には、ピロン氏が所属するRhobanチーム自作のツール「BAM」を使用
  • v1ではDynamixel XL330サーボを使用。以降もアクチュエータ構成を継続的に見直し
  • 本体搭載のソフトウェアはRaspberry Pi OS Lite(64bit版)上で動作し、Raspberry Pi Zero 2Wにインストール
  • 実機用ランタイムはPython 3のパッケージ(pip install -e . でインストール)で、学習用コードとは別リポジトリ
  • ハードウェアとはI2C(IMUセンサー)・USBシリアル(モーターコントローラー)・Bluetooth(テレオペ用Xboxコントローラー)で通信
部品個数価格
Power
18650 cell210.00
18650 cell holder14.99
2S BMS18.40
5V regulator14.00
Small power switch14.49
USB-C charger19.99
2.1mm barrel jack22.00
XT30 connector pair18.00
Servos, control & sensors
IMU (BNO055)140.00
Raspberry Pi Zero 2W126.08
SD card110.00
Servo control board (Waveshare)15.00
Feetech STS3215 7.4V servo14196.00
Feet contact switches (SS-10)44.00
9g servos26.66
Misc.
3D-printing M3 inserts15.99
PLA filament (~500g)120.00
Cable sheath19.00
15cm micro-USB to USB-C cable17.00
50cm micro-USB to USB-C cable16.00
Bearing310.50
合計(v2・基本構成)398.10

この節の出典: Open_Duck_Mini v1 README · GitHub: apirrone/Open_Duck_Mini(v2) · GitHub: Open_Duck_Mini_Runtime · 公式部品表スプレッドシート(上表に含めていない、表現機能オプション部品も掲載)

03アヒルに歩き方を教える:Sim2Real

Open Duck Miniは、人手で調整した歩容ロジックで歩いているわけではありません。ほぼすべてシミュレーション上で学習したポリシーを、実機へ転移させて歩いています。このアプローチはバージョンを重ねるごとに進化してきました。

  • v1はNVIDIA Isaac Gym上でAWDフレームワークを用いて学習し、MuJoCoでSim2Sim検証
  • v2ではK-Scale LabsのオープンソースフレームワークをもとにしたMuJoCo Playgroundへ学習基盤を移行
  • 専用リポジトリ「Open_Duck_reference_motion_generator」が、IKライブラリ「Placo」を使い模倣学習用の参照歩行モーションを生成
  • 学習済みポリシーをONNX形式にエクスポートし、実機上で推論に使用

開発者アントワーヌ・ピロン氏自身の投稿。Open Duck Mini v2の初期の歩行の様子——撮影はオーギュスタン・クランペット氏(2025年3月)。

この節の出典: Open_Duck_Mini v1 README · GitHub: Open_Duck_Playground · GitHub: Open_Duck_reference_motion_generator · アントワーヌ・ピロン氏のX投稿(2025年3月)

04広がるコミュニティと、Google I/O出演

2026年半ばまでに、Open Duck Miniは一人の個人プロジェクトの域をはるかに超えて成長していました。活発なDiscordコミュニティでビルドやトラブルシューティングの情報が交換され、GitHubリポジトリのスター数・フォーク数は、プラットフォーム上でも比較的目立つオープンソース・ヒューマノイド関連プロジェクトの一つとなっています。

この知名度は、思いがけない形でスポットライトを浴びることになります。Google I/O 2026(2026年5月)で、Google自身の開発者チームが2台のOpen Duck Mini v2を使い、「Gemma Playground: Robot Duck」というデモを披露しました。同年4月に公開されたGoogleのオンデバイスAIモデル「Gemma 4」を、クラウドではなく完全にローカルで動かすというものです。個人規模のオープンソース・ロボットが、ビッグテックの基調講演デモの実機として採用されるという、珍しい事例と言えます。

3,300+
GitHubスター数
419
GitHubフォーク数
3
モーション生成ツールが対応するロボットの種類

この節の出典: GitHub: apirrone/Open_Duck_Mini · Google公式ブログ: Gemma 4 · Google Developers公式ブログ: Google I/O 2026基調講演まとめ

05年表

日付関係組織出来事
2024Antoine PirroneOpen Duck Mini v1を開発中、ディズニーのBDXドロイドに着想
2024-12Antoine Pirronev2の開発に着手、目標ビルドコストは400ドル未満
2026-04Google「Gemma 4」をApache 2.0で公開
2026-05GoogleGoogle I/O 2026で、2台のOpen Duck Mini v2がGemma 4のオンデバイス動作をデモ

06よくある質問(FAQ)

Q.Open Duck Miniとは何ですか?

A.Open Duck Miniは、ディズニーのBDXドロイドに着想を得た、オープンソースの3Dプリント可能な二足歩行ロボットです。Pollen Roboticsのエンジニア、アントワーヌ・ピロン氏が開発しました。シミュレーション上で強化学習した歩行を実機へ転移させる仕組みで、目標ビルドコストは400ドル未満です。

Q.誰が作ったのですか?

A.Open Duck Miniを開発・保守しているのは、アントワーヌ・ピロン氏です。同氏はPollen Robotics(ReachyやAmazing Handを手がける、Hugging Face傘下の企業)の研究開発エンジニアであり、ボルドーを拠点とするロボティクスチーム「Rhoban」のメンバーでもあります。

Q.どうやって歩行を習得するのですか?

A.歩行ポリシーは、IKライブラリ「Placo」で構築した専用ツールが生成する参照歩容をもとに、シミュレーション上で学習されます——v1ではNVIDIA Isaac Gym、v2ではMuJoCo Playgroundを使用。学習を終えたポリシーはONNX形式にエクスポートされ、ロボット搭載のRaspberry Pi上で実行されます。

Q.Google I/O 2026のデモとは何ですか?

A.Google自身の開発者チームが、「Gemma Playground: Robot Duck」と題したデモで2台のOpen Duck Mini v2を使用し、GoogleのAIモデル「Gemma 4」がクラウドではなく完全にオンデバイスで動作する様子を披露しました。

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